【ベンチャーと大企業、どちらが成長できるか】
大企業とベンチャー、どちらが「個」として成長できるか、というのはよく議論されるテーマになります。結論を先に書けば、どちらにいても成長はできるのです。ただし、どちらに所属するかによって、成長のための方法論は変わってくるでしょう。まず前提として知っておかなければいけないのは、世の中で「成功」している人のほとんどは大企業出身者だということです。大企業は給与も高く、組織の看板もあり、転職の前例も豊富なので、ステップアップしていくのに有利であることは動かし難い事実なのです。
一方、ベンチャーでは成功者が一部に偏る傾向があるため、どうしても成功者の人数は少なくなります。ただし、成長・成功における最大値はベンチャー出身のほうが上です。
ベンチャーでうまくやれれば、肩書き・スキルとともに短期間で加速度的に成長できるのは間違いありません。その意味で、有る種の人間に取っては、ベンチャーの方が大企業に比べて成長できるというのは事実です。
単純化すれば、ミドルリスク・ミドルリターンの大企業か、ハイリスク・ハイリターンのベンチャーか。
大企業にいる人とベンチャーにいる人を、現状のままで比較しても意味がありません。結果とは多くの場合「自分✖︎環境」の相乗効果だからです。
比較する時には、それぞれが自分の今の立場を離れた際にどれだけ成功できるか、で比較されるべきだと思います。その組織だけで通用する知識・経験ではなく、横展開できるスキルを身に着ける、という視点が大切になってきます。
【バスの旅か、バイクの旅か】
大企業に勤める場合と、ベンチャーに勤める場合とでは、仕事のやり方や心構えにも違った物が求められます。オジサンたちが好んで口にする「石の上にも三年」というのは、典型的な大企業における心構えだと言えるでしょう。
大企業では、組織の全体像や、自分の置かれた位置などを把握するにも時間がかかりますし、本当の意味での学びの経験をするのも「いきなり」というわけにはいかなかったりします。ある程度じっくりと腰を据える必要があります。
したがって、事業自体の行く末を見ながら、数ヶ月単位で自己の成長を見極めていくことも必要になってきます。極端な話、倒産しかかった企業では学べるものも学べません。自分が勤めているのが、成長中のベンチャーなのか、生き残るのが精一杯の中小企業なのかについては判断が必要です。
また、ベンチャーでは数日でクビということもありえます。それと、たいていのベンチャーでは社員教育のシステムがありません。仕事を覚えることも、仕事に必要な知識を体系化することも自主的に取り組む必要があり、受け身の姿勢では勤まりません。ある意味、会社の成長スピード以上に、社員自身が成長する覚悟が必要です。
例えれば、大企業に勤めるのは、みんなで乗り合って決まった路線を着実に進むバスの旅で、ベンチャーに勤めるのは、自分の道を一人でぶっ飛ばすバイクの旅。それ相応の心構えが求められるのです。
(引用:「非学歴エリート」)
