今の時代、独自の価値は商品やサービスはないと思った方が良いです。なぜなら、あなたの商品以外も、みんなこだわったいい商品からです。現代の日本ほど、素晴らしい商品に溢れている時代はありません。
どんなにこだわった商品だって、どんなに質のいいサービスだって、代わりになる商品はたくさんあります。商品やサービスにもう価値はないのです。
今は資本主義が終わりを告げ、「つながり経済」になってきました。人と人がつながり、スマホで24時間365日つながり、企業と人も直接つながり、その「つながり」の中で消費が行われていきます。知り合いから買う、友達から買う、よく知っている店や会社から買う。そういう時代です。
したがって、今日的な意味での独自の価値というのは、「いかにいい人とつながっているか?」ということ。これが「関係性」です。今後は商品の価値を高めるだけでなく、「つながり」を創出することが、会社を繁栄させるために必要不可欠になるのです。
- 1.忘れられないようにいつもコンタクト
- 2.売り込みではなく「情報」を発信
- 3.お客様を巻き込んで楽しむ
■「ゆるやかな関係性」という価値
1.忘れられないようにいつもコンタクト
人間の大きな特徴は「忘れる動物」であるということです。リピーターが少ない店の一番の理由は、顧客満足度が低いなどではなく、「忘れられた」ということなのです。どんな顧客満足を高めても、忘れられたら選んでもらえません。したがって、リピーター率を高めたかったら、忘れない工夫をすることが大切です。SNSで発信することで、忘れられない存在になります。それは別にSNSじゃなくても、ニュースレターやお手紙などの紙媒体でもできます。例えば、ニュースレターを定期的にお客様に届けると、確実にリピーターは増えます。
しかし、ニュースレターは郵送費と印刷費がかかります。一方、SNSは情報を届けるコストが劇的に少ないです。コストが比較的にならないくらい違うのです。
同じ人1000人に、毎日ニュースレターを出すのは、不可能なことです。しかし、毎日同じブログやフェイスブックで発信して、交流することは比較的カンタンにできます。
例えば、フェイスブックの友達が5000人に達し、それとは別にフォローしてくれている人が1万6000人以上いるとします。これだけで2万人以上の人と「つながっている」状態になります。SNSは単純に考えると、これだけの人に毎日のように「情報」を届けることができるのです。
2.売り込みではなく「情報」を発信
「ソーシャルネットワーク」は、すなわち「社会のつながり」です。これは何も新しいことではなく、太古の昔から、僕たち人間が当たり前につくってきたものです。家族や友人、知人との「つながり」。それがSNSが普及するとともに、よりつながりやすくなりました。そしてつながりが、他の人から見えやすくなりました。インターネットの世界は、SNSが登場したことによって、人が中心の実社会に近づきつつあります。だからSNSでの個人のふるまいが、リアルの社会でのふるまいと同じように評価されたり、判断されます。
たとえば、フェイスブックやツイッター上で、「ウチの商品はこんなに素晴らしいものです。こんなにこだわっています。こんなところが新しいです」と売り込むような発言ばかりしていると、敬遠されたり、嫌われたりします。
リアルの社会でも、自分のことばかり話す人っていますよね。いわゆる「オレ様情報」。そういう人は周りからも評価は低いでしょう。それよりも、いつも面白い話をする人、知らないことを面白く教えてくれる人、あなたと共通の話題で盛り上がる人、あるいはあなたの話を面白がって聞いてくれる人。
そういう人とは時間を共有していて、とっても楽しいですよね。それが「共感」するってことになります。
3.人々を巻き込んで楽しむ
人々は物事を買いたいと思っているのではなく、物事を楽しみたいと思っているのです。SNS時代には、経済合理性では説明できないことが起こります。従来の経済では、同じ質の同じようなモノを買うのなら、安い方で買います。それが常識でした。しかし、今は一概にそうは言えません。質のいい安いモノが世界中に溢れているのに、高くても楽しいモノが売れたりします。そういう消費が表に表れないところで、かなり行われているのです。
人々を巻き込んで楽しむこと。そうすると、あなたやあなたの会社を中心にしてコミュニティが、自然に出来上がります。だからSNSの発信もそうですが、リアルの場でも、人々と楽しむ。そういう意識を持つことが大切になります。なぜなら、人は楽しい場所、楽しい人の周りに集まってくるのです。
どんどん楽しむようにしましょう!
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