下記は「何があっても必ず結果を出す! 防衛大式最強の仕事」からの抜粋である。
場当たり的な「気合」や「根性」では乗り越えられない
防衛大の1学年の生活は、入校してまもない4〜5月は本当に過酷を極めます。上級生の合言葉は「1学年の時間を奪え」で、とにかく時間を奪われます。災害派遣や人命救助といった有事の際には「1分1秒」ムダにはできません。いかに短時間で状況を好転させるか、それを考えるのが、自衛隊幹部の仕事であり役目だからです。
そのための第一歩として、究極なまでに時間に対する意識を高める必要があります。上級生の指導、そして防衛大のタイムスケジュールは、まさしくそのためのものでしたと思わないと耐えられませんでした。
時間がない中で、いかに工夫をして、目の前の事態を好転させることができるか、どれだけ課された「仕事」に対応できるか。1学年の動きぶりを見て、悪いところがあればすぐに上級生は指摘をする。
日々その繰り返しで、思うとおりに1日を過ごさせたことなど、1学年のうちはほぼありませんでした。
いちばんつらかった時間の奪われ方は「作業服の洗濯」でした。1学年時は毎日、上級生から身だしなみがきちんとしているか、「プレス」と呼ばれる制服や作業服のアイロンがけの状態チェックが行われます。シワがついているようなら上級生に厳しく指導されます。
そのため、1学年は暇さえあればアイロンをかけ、その後、作業服は衣装ロッカーにシワがつかないように保管し、点呼の直前に着替えます。
私の高校時代の担任は、テスト前にいつも「気合と根性で乗り越えろ」と言っていましたが、防衛大の日々は「気合」と「根性」だけでは乗り越えられるほど甘いものではありませんでした。今振り返ると、1学年時は、時間のことばかり考えていたように思えます。