下記は「どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから”の仕事と転職のルール」の一部を抜粋したものです。
誰にとっても、もっともギブしやすく、また受け取りやすいのが「知識」です。例えば、毎朝1時間ニュースをチェックして、面白い記事があったら、その記事のURLをメールにコピペして、最低でも20人にギブするのも知識のギブになります。全員に同じメールを送るのではなく、相手に合わせて別々の記事を取り上げ、「あなたはこういう視点でこのニュースを読むと面白いと思う」と一言添えるとなお良い。
なぜそんなことをするのかというと、「このニュースは○○さんの役に立ちそう」「○○さんならこの記事をどう読むのか」と常に視点を変えながら読むことになるので、結果として、20人分の視点を自分の中に持てるのです。
誰かの目線で記事を読む習慣をつけることによって、お客様と打ち合わせをする時も、相手の視点に立って「どうしたら喜んでもらえるか」を考えることができるようになります。
また、自分のためなら3トピックくらいしか読まないところを、20人の目で記事を読むことになるので、一人あたり3トピックとして、20通りのモチベーションで、60本もの記事に目を通すことができるのです。
それによって、インプットの量を無理なく確保できるだけでなく、実際にその相手と会ったときに、「例のあの記事何ですが・・・」と話の糸口がすぐに見つかります。その記事が相手の心に響いていれば、「そうなんだよ。実はこんなことを始めようと思っていて、よかったら助けてくれない?」と声をかけていただけるかもしれません。
「せっかく自分が先取りした情報やアイデアを、ただで他人に教えてしまうなんてもったいない」と思う人もいるかもしれませんが、そんな心配はいりません。
壁をつくって知識を隠すことのメリットはどんどんなくなっています。昔は知識を自分だけのものにして、こっそり出し抜いてやるというやり方で一定の成果を上げることができましたが、いまはネットで調べれば、たいていの情報は手に入ります。
自分だけが知っていることなんて実はほとんど何もないことがわかるし、自分が思いつくようなことは、世界中で1000人は思いついていると思ったほうがいい。そうなると、自分が隠しても誰かに先にやられてしまう可能性があります。
結局、スピード勝負ということであれば、自分だけでコツコツやるのではなく、オープンにして周りの人をどんどん巻き込んでスピーディに実現しないと間に合わないのです。
自分のもつ知識をオープンにすると、「旗を立てる」という効果もあります。要するに、最初にそれを言った人というふうに、まわりが認知してくれます。最初に言ったということ自体がブランドであり、旗を立てたところには、それに関心がある人たちや情報がどんどん集まってきます。
会社という小さな枠組みで縮こまっているよりは、どんどん情報をオープンにして回していったほうがより多くの情報が集まるし、結果的に、あなたにも力が宿ることになります。
もっと大事なのは、そうやって自分からオープンにしていれば、「あいつの頼みなら聞いてやろう」「あいつが会いたいというなら会ってやろう」と思ってもらえるようになります。こちらが先に信じて頼れば、相手も返してくれるわけです。