下記は「冒険に出よう (U25サバイバル・マニュアル) (U25 SURVIVAL MANUAL SERIES)」からの抜粋です。
「失敗が怖い」。新しい一歩を踏み出すときにそう感じるのは、ごく自然なことです。せっかく挑戦しても、それがうまくいかなかったら、「次も失敗するかも・・・・」と消極的な気持ちになるのも当たり前です。
でも、こんなふうに考えてみたらいかがでしょうか。挑戦の分母を増やすのです。たとえば1回挑戦して失敗に終わったら、失敗率は1分の1。これでは凹んでしまいます。しかし、そこで挑戦を5回、10回と増やしていきます。
5回挑戦して2回うまく行けば、失敗率は5分の3と下がります。さらに挑戦の分母を増やして行けば、そのうちに一度や二度の失敗など気にならなくなります。
今でこそ人前でお話をする仕事をさせていただいている私ですが、最初から話すことが得意だったわけではありません。数年前までは、マイクを持つ手が震え、声はうわずり、途中で真っ白になってしまうこともしばしばでした。
苦い思い出もあります。つい数年前のことです。とあるプレゼンで壇上に立った瞬間、あまりの緊張に、それまでなんども頭の中でシュミレーションしていた話の流れや言葉が一気に吹っ飛びました。
心臓が高鳴り、口はカラカラ。頭は真っ白。全身からいな〜な汗が流れ、あー、うーという言葉を発するのがやっとでした。結局、与えられた時間内に話を収めることができず、途中でタイムアウトしました。
あまりの恥ずかしさに「すみません」と一言つぶやき「穴があったら入りたいとはこのことだ」と痛感しながら自分の席に戻りました。
人生最悪とも思える失敗体験を経て、私は「うまく話せるようになりたい」と心から思いました。それから、話が上手と言われるビジネスパーソンのセミナーCDを繰り返し聴いて独特のテンポをつかんだり、ボイストレーナーの先生のもとに3ヶ月ほど通い、発生と話し方を訓練をしたりしました。
また、一間に出て話すチャンスがあれば、1時間で5000円という(相場からしたらかなり安い)ギャラであってもセミナー講師を受けたり、無報酬で知人のイベントの司会を買って出たりと、人前で話す機会を増やして、とにかく挑戦の分母を増やしたのです。
こうした甲斐があって、何度も恥をかきながらも、次第に「安藤さんは話すのが上手ですね。緊張しないのですか」と褒めていただけるようになりました。
「できない理由」で頭をいっぱいにするくらいなら、挑戦の分母を増やしていきましょう。たった一度きりの失敗で何かを結論づけてしまうのはあまりにももったいないです。中長期的な視点を持って、何度も何度も挑戦を重ねていくことです。