下記は、「図解ポケット 最新決算書がよくわかる本[2019年版]」からの一部抜粋です。
1 損益計算書から1年間の経営成績がわかる
損益計算書は、決算日までの1年間の経営成績を表示します。経営成績とは、どれだけ売上高を計上し、どれだけ利益を残すことができたかという1年間の結果を指します。
資金繰りやキャッシュフロー計算書が資金の収支を表すのと異なり、損益計算書で計算される利益は資金の流れとは無関係です。
例えば、銀行からお金を借りてきた場合に、会社の現預金残高は増加しますので、資金繰り表やキャッシュフロー計算書においては収入として計上されます。
しかし、借りてきたお金は、会社の利益を増やすことがありません(利益を減らすことも当然ありません)ので、損益計算書は計上されることはありません。
また、機械などの固定資産を購入した場合、会社から資金が流出しますので、資金繰り表やキャッシュ・フロー計算書においては支出として計上されますが、損益計算書には直接計上されることはありません。
損益計算書には、減価償却の手続きを経て計算される減価償却が、固定資産取得後数年間にわたって計上されることとなります。
損益計算書では、売上と、それにかかった経費とを比較して、会社が1年間にいくら儲けたかが示されます。
2 賃借対照表から決算日の財産の状況がわかる
賃借計算書は、決算日現在の会社の財産の状況を表示します。損益計算書が1年間の取引量を表すとは対照的に、賃借対照表は決算日の一時点の状況を示します。
会社がどれくらい儲かっているかを知ることも大切ですが、会社が持っている財産の状況を知ることも同時に必要です。なぜなら、儲かっていることと、会社がお金持ちであることは、必ずしも一致しないからです。
歴史のある会社の中には、本業は儲かっていないが、何十年も前に大儲けして、預貯金、有価証券や土地などの資金をたくさん保有している会社もあります。
反対に、ここ数年は売上も順調で、たくさんの利益を上げているけれど、創業当初の銀行借り入れの返済に追われていて、財産は全くないという会社もあります。
賃借対照表は、会社の資産と負債のどちらが多いかという、お金持ち度合いを測るモノサシとして、重要な役割を担っています。