下記は「どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから”の仕事と転職のルール」の一部を抜粋したものです。
情報はできるだけオープンにしたほうがいいが、まず核となる知識がなければ、誰かから一方的に与えてもらうだけの「くれくれ」状態になってしまいます。わからないことはまずはググる。これがすベての基本です。そうして調べたものは、積極的にオープンにする。この順番を間違えてはいけないのです。
グーグルが登場したのは、1999年頃のことです、検索の主流がディレクトリ型からロボット型に切り替わるタイミングでした。
何よりも衝撃を受けたのは、検索結果が表示されるまでの速さです。例えば「尾原和啓」でググると、「約30800件」ヒットして「0.33秒」かかったと表示されますが、これを1秒切るか切らないかというのが大きな問題でした。
結果が表示されるまで1秒を切ってくると、思考を途切れさせないからです。思いつくまま入力して、どんどん検索すると、ポンポンポンとラリーのように返ってきます。そうなると、検索エンジンがブレスト相手になるのです。
結果が表示されるまでに1秒以上かかると、そこで思考が途切れます。ディレクトリ型のように、結果にたどり着くまで何クリックもしなければならないようでは、探すこと自体が目的になってしまって、考えが深まりません。このスピードは致命的でした。
検索エンジンとしては最も後発といってもいいグーグルが、先行するサービスのほとんどを葬り去ったのは、「ページランク」という独自のアルゴリズムで、価値あるウェブサイトにヒットする率が異様に高かったから、と言うのが主な理由です。
しかし、結果表示のスピードが抜群に速く、検索があたかも対話のように利用できるようになったから、というのも大きかったと思います。
ブレスト相手としてのグーグルは、どんどん進化し続けています。ここでは、ぼくなりの情報収集の方法もお伝えいたします。
検索キーワードを探す基本動作はグーグル検索ですが、新着コンテンツを中心に見て回るときは、グーグルアラートが便利です。自分の検索キーワードを登録しておけば、毎日、関連ニュースをメールで知らせてくれます。
社会人になってからの習慣としてずっとやっていたのは、出会った人のうち、これぞという人の名前を全部登録しておくことです。
当時はまだグーグルアラートはなかったので、日本経済新聞の記事検索サービス「日経テレコン」を使っていましたが、登録済みの名前が記事に出ると、毎日メールで知らせてくれるのです。
本人に会ったときに「あの記事よかったですね」と言えば相手の方にも喜んでいただけるし、「あんな小さな記事に気づくとは、尾原は新聞を隅々まで読んでいるんだな」と、いい意味で誤解してもらえます。
「日経テレコン」は主要メディアだけが対象ですが、グーグルアラートはブログを含めたほとんどのメディアが対象なので、営業の人は取引先を、広報の人は自社の社員の名前を登録しておけば、強力な武器になるはずです。
また、自分が関心をもつキーワードが、いつ・どこで・どのくらい検索されているかは、グーグルトレンドで調べることができます。
検索回数の多さは、ニーズの強さを意味します。ということは、それがビジネスに繋がる可能性が高いのです。
さらに、自分でもそのワードについてブログやSNSで情報発信していた場合、自分の書き込みが検索結果の何位に表示されるかで、同じ関心をもつ競合の多さや、自分の立ち位置をつかむことができます。
そのワードで関する検索上位を狙うか、あるいはニッチなワードを見つけて、そこで一人勝ちを目指すのか。そのキーワードがもつ市場価値を知ることで、いろ色な手を打つことができます。
最近は、マーケティングや組織論、意思決定に影響を与える心理的バイアスなど、ビジネス関連の論文がすごく増えているので、検索によって非常に多くの知識を得ることができます。
このようにグーグル検索は最高のブレスト相手になります。