【転職したい幹部自衛官の思考】戦略は「弁証法」である。

幹部自衛官が転職したいと考えるのであれば戦略思考を徹底的に磨くことが重要であります。その戦略思考を「戦略の本質 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ

」の言葉を借りて紹介します。

【戦略は「弁証法」である】

ヘーゲルの弁証法で言えば、戦略は絶えず「正」(テーゼ)「反」(アンチテーゼ)「合」(ジンテーゼ)のプロセスで生成発展しているといえます。彼我のダイナミックな相互作用を把握し、大戦略、軍事戦略、作戦戦略、戦術、技術の重層関係の矛盾を綜合するのが戦略であります。

クラウゼヴィッツは「戦争は彼我双方の活動の不断の相互作用である」と指摘し、さらに戦争の不確実性を高める要因として「摩擦」と言う概念を提示しました。

アンドレ・ボーフルは、簡潔に「戦略とは、紛争を解決するために用いる、二つの対立する意志の弁証法のアートである」と定義しました。近年では、ルトワクが戦略の本質を、対立するものを合一させるときの逆説的論理にあると見て、時間の概念を導入して戦争における失敗と成功、勝利と敗北は相互に転化し得ると主張しました。

ゲリラ戦の本質は、決して負けないが、決して勝てないという矛盾にあります。正規戦とゲリラ戦の二項対立、「正」と「反」を止揚する、「戦略的に組織化されたゲリラ戦」が「合」なのです。

その戦い方は通常のゲリラと異なり、しっかりした指揮・命令の下に集中、統一、規律をもって行われる戦闘形式であります。絶対的兵力数では「一をもって十にあたる」では、量的に勝てないが、あるコンテクストに引き込むと、「十をもって一にあたる」という時空間が創造でき、そこでは逆転勝利を収めることができます。

敵を根拠地に深く誘い入れ、固定した戦線と兵站を持たず、必ず緒戦は勝つという原則を持ちます。

絶えず矛盾が生成される現実の中で、時間軸を導入し好機をとらえてそのギャップを止揚していく弁証法的方法論であります。

バトル・オブ・ブリテンも弁証法のプロセスととらえることができます。航空作戦では、攻撃側が本来的に有利であります。スピードが早いので、攻撃側は攻撃の時機、目標、方法の先制(イニシアティブ)をとりやすいのです。

防御側はそれを探知しても対抗時間が限られます。この矛盾をどう解消するのか。ダウンディングの解は、爆撃機から戦闘機への増産シフトであり、支援システムとしてのレーダーの開発と高射砲兵団の空軍による一元的管理でありました。

ダウンディングの進言によって、チャーチルが戦闘機部隊のフランス派遣を中止したことも、戦闘機とパイロットの資源温存に貢献しました。


戦略の本質 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ

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