日本の労働事項の「49%」が人工知能(AI)やロボット等で代替可能になる・・・・・2015年、株式会社野村総合研究所が、英オックスフォード大学との共同研究により、日本国内601種類の職業について、分析し、このようなショッキングな研究結果を発表し話題となりました。
その中には、AIやロボット等に代替可能性が高い100種の職業がピックアップされており、国や自治体の行政事務員も含まれています。現在の自治体の諸語とは、10年後、20年後にもあるとは限らないのです。
実証実験がものがたる提携業務自動化の数々!
今後、AIやロボット、ITは急速に発達し、自治体における定型業務がなくなっていくことは確実です。例えば、富士通株式会社、国立大学法人九州大学などは、AIを用いて最適な保育所の割り当てを自動的に算出する技術を開発しました。この技術は、さいたま市で活用され、複数の職員が50時間かけて対応していた、約8000人の利用者のきめ細かな保育所の割り当てを、わずか数秒で算出したことで話題となりました。
茨城県つくば市では、NTTデータなど3社と協力して、住民税関係データの移行など単純作業の自動化に向けた共同研究を進め、業務の効率化を進めています。
経済産業省では、国会答弁の作成を含む行政事務における人口知能活用を研究していますし。三菱総合研究所では、全国30以上の自治体において、AIが市民からの問い合わせに対応する実証実験を進めています。
世界に目を向けると、韓国では政府のシステムを活用して、国民がどこからでも24時間365日、各種証明書の発行ができ、行政業務の大幅な削減と国民の利便性の向上が図られています。
AIやITを活用して国家を挙げた取り組みを進めているのが北欧の小国エストニアです。エストニアでは、15歳以上の全ての国民が電子IDカードを持つことを義務付けられ、ほぼすべての行政手続をオンラインで済ませることが可能です。
2014年には海外からの投資や企業誘致等を促進するための電子居住権制度が導入され、国外に住みながらでもエストニアの電子政府システムを活用した経済活動が可能となったほか、会社の設立・登記に関する手続きを最短で18分でできると話題になりました。
このように、AIやロボット、ITの進化に加え、国家プロジェクトや、ビックデータやオープンデータを活用した新しい行政サービスも生まれています。これからは行政が持つ情報やデータは行政だけのものではなく、市民や事業者に提供されるのが当然になり、これを活用した新しい公共サービスが生まれてくる時代となります。
AI・ITに負けない公務員の仕事とは何か
では、これからの公務員は、AIやロボットに仕事を奪われ、その役割を失ってしまうのでしょうか?私の答えは半分「YES」、半分「NO」です。AIやITを活用すれば、どんどん仕事が効率化され、自治体に必要な職員数は大きく減少するでしょう。同時に、人間しかできない業務や、AIと人が連携すれば一層効果的に進められる業務に、公務員がこれまで以上に注力して、引き続き市民生活の向上や社会の発展に貢献することは、これからも十分できるはずです。
前述した野村総研とオックスフォード大学の共同研究でも「創造性、協調性が必要な業務や、非定型の業務は、将来に置いても人が担う」とされ、「他者との強調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は、人工知能等で代替は難しい傾向があります」と述べられています。
生駒市には、市民によるイベントにどんどん顔を出し、本音を聞き出したり、広報などで活動を支援しながら大きな信頼を得ている職員がいます。
単に市民のニーズを聞き出すだけでなく、逆に市民にいろいろとお願いをして、汗を書いてもらいながら、より魅力的なまち作りに努めています。
このように、公務員がこれからの時代に生き残っていくには、人間にしかできない仕事に特化し、現場に入り、専門性に磨きをかけることが不可欠です。
定型的ではない課題を常に設定し、他者とコミュニケーションをとりながら、創造的なアウトプットを生み出す仕事とは何かを考え、具体的に動いて行かざるを得なくなるのです。
10年で激変する! 「公務員の未来」予想図