【たとえば来年の年賀状をどんなものにするのか】
何をひきあいに出しても心構えは同じです。段取りも同じです。であれば身近なちょっとしたアイディア出しの例の方がわかりやすいと思います。たとえば年賀状です。来年のものをどんなものにするのか。文字は?絵柄は?人によって変えるのか、同じか。自分で作るにせよ、町の印刷屋さんに頼むにせよ、いくつか案を出さないといけないし、それを決定しなければなりません。それを決定しなければなりません。店でもあり物を買うにしても、なぜそれを選ぶのか。基準は何か。
ところがアッという間にカレンダーがめくられ、師走も半ばすぎてしまい、「しまった、そろそろ考えなきゃ」と。それだといいものはできません。
仕事の場合で言えば、上司からオーダーされてから考える、任命されてから考える・・・・、それでは遅すぎるのです。
「年賀状をどうするか」というスタート地点から、失敗が始まっているとも言えます。年賀状だと大げさに聞こえるかもしれません。親しい人にだすものだから、実はどんなカタチであっても、こちらの「元気」が伝われば喜ばれます。
しかし、どうだろうか。会社として、集団として、所属する組織として出す年賀状だとしたら、なぜん真剣にならざるをえないでしょう。いわんや販売促進にもっと直結するようなものだと知らら。宣伝チラシだったら。ダイレクトメールだったら。
となると、やはり商売につなげたい。評判を呼びたい。あらためて言うと、さてどうしようかというそんな時、12月になってから考えるのでは遅いのです。いざとなって慌てて考えても、いいものはできません。
「年賀状をどうしようかな」「チラシをどうしようか」「DMをどうしようか」と言うアプローチそのものが、敗因になることが多いのです。
【登場する”三つ”の要素】
ここに登場する要素は三つあります。年賀状を出す「私」。宛先の「相手」。そして「年賀状」。「私」を店だとすれば、「相手」はお客さん、両者をつなぐ「年賀状」は商品であります。「相手と私」を一つのカッコの中に入れると、そこには「顧客と企業」「消費者と生産者」「需要と供給」、何でも代入できます。哲学者のハイデッカーさんだったら「存在と世界」なんていうのを入れてしまうかもしれません。
いずれにしろ、どんなに広げてもスタンスは変わらない。何かを提供したい「私」がいて、それを受け取る「相手」がいるのです。双方の間を結ぶのは、商品あるいはサービスであるのです。
だから来年の年賀状を考える心構えと段取りは、新しい企画、新しい商品、新しい事業の開発にも応用できるのです。そして、次の時代を形作るような大きな新産業創造にさえ通じるのです。
「私」と「相手」と「年賀状」。そんな三要素を、頭の中にポン、ポン、ポンと三つ置きながら、聞いて欲しい。
年賀状をいいものにするためには、年賀状を考えてはいけないのです。禅問答のように聞こえるかもしれませんが、カラダで覚えた、痛いほどの実感なのです。あわてて「年賀状」そのものにかかりきりになってはまずいのです。
ふだんから自分をよく知り、相手のこともよく知っていること。それが「年賀状」をつくるコツであるのです。
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