転職で価値を発揮しない資格に注意する
「私は自慢できるような資格を持っていないから出世できないですね」「どんな資格を取得すると転職に有利何ですか」などと、キャリアの話にあんると、資格に関する話題になることがあります。「財務会計の知識は社会人にとって必須。最低限、簿記2級は取得しておく必要があるね」「難関資格の公認会計士を取得していないと、それほど評価されない」「いやいや、グローバル化するこれからの時代は、CPAの方が得だね」というような議論があります。
「弁護士になるために司法試験を受ける」「どうしても監査業務をしたいから公認会計士の資格を取得する」という場合には、もちろん問題ありません。それらは、そもそも職務を行うために取得しなければならない国家資格ですので、頑張ってチャレンジする価値があるでしょう。
しかしながら職務に必須とされる資格を除くと、その他の任意取得の資格に関しては、一般のキャリア本や資格取得学校で語られているほど転職時には評価されません。
「何でもいいから難関資格を取っておけば、転職に有利になる」というものではないのです。超難関とされる弁護士資格を取っていても、法務職に就いたり、弁護士事務所に入ったりする場合以外はあまりメリットはありません。
自身の就きたい業務と資格がフィットしていなければ、資格が価値を発揮しないのでは当然です。いわゆる”箔付け”に難関試験を取ろうと考えている場合には要注意です。
資格試験はハイリスクな勝負
中小企業診断士も大変難易度の高い資格の一つですが、残念ながら難易度のわりに、転職の際に評価を受けにくい資格でもあります。「経営企画やマーケティングのポジションに応募する時、中小企業診断士の資格があったほうが有利でしょうか」という質問が多くありますが、実態としてh、この資格の有無はほとんど影響がありません。もちろん、勉強して無駄になることはありませんが、”丸暗記する必要のないもの”まで試験勉強には多々含まれています。
難関試験ほど、当然、合格率は低く、取得までにかかる労力は膨大なものとなります。そして、その試験のほとんどは年に一度の一勝負。一生懸命に勉強しても、たまたま苦手な問題が出て、不運にも落ちてしまうということなど珍しくありません。
残念ながら資格試験の勉強をしていたことや身につけた知識は、合格しない限り世間では評価されません。旧制度の司法試験が有名ですが、何年間も棒に振ってしまうような危険性もあります。
合格しなければ評価されませんし、幸い合格できたとしてもイメージほど「資格」はキャリアアップに役に立ちません。資格取得に邁進するというのは、このようなハイリスクな勝負に挑んでいることになります。
望むキャリアを実現するためには、資格の取得に一生懸命になる前に、その資格が本当に自分のキャリアに役立つのかを慎重に見極めることが大切なのです。
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