下記は「ブルーインパルスの科学 知られざる編隊曲技飛行の秘密 (サイエンス・アイ新書)」からの一部抜粋である。
ブルーインパルスで使用されているT-4アクロ仕様機(正式名称は戦技研究仕様機)は、航空自衛隊のパイロット教育で使用されているT-4中等練習機をベースに、曲技飛行を行うための改修を施した機体ですが、その基本構造や性能などの面で通常のT-4と大きく変わるところはありません。
T-4は航空自衛隊の創設期から使用されてきたT-33Aジェット練習機の後継機として、1980年代に開発された純国産の中等ジェット練習機です。
ブルーインパルス向けのアクロ仕様機は、1994年から2002年にかけて11機が製造されましたが、通常のT-4に対して以下の改修が施されています。
①機体外部塗装の変更
②発煙(スモーク)装置の装備
③ラダー作動角の拡大
④風防の強化
⑤主翼前縁の内部構造の強化
⑥低高度警報システムの追加
⑦コクピット内装備の追加
なお、T-4は戦闘機パイロットの教育課程で使用されているため、ブルーインパルスに配属されるすべてのパイロットがT-4の操縦経験を有しています。
また2人乗りの複座機なので訓練が効率的に実施できるほか、全国の主要な基地にも補助用の航空機として配備されているため、展示飛行の展開先での整備や補給面での支援を受けやすいメリットがあり、ブルーインパルスの任務に適した機体だと言えるでしょう。